酒離れ?
自動運転、ライドシェアと悲観的な話題は絶えないのにまだあるの?
実はタクシー業界に長いこと身を置いていて、一番危惧しているのが酒離れです(特に若者)。
タクシーの仕事で収入の柱となるのが酔客の送迎です。
お酒を飲むと車の運転ができなくなり公共交通機関が終わるともう長距離でもタクシーに乗って帰るしかないので、22時から5時までの割増料金と相まって一気に稼いできました。
ところがバブル崩壊から夜のお客さんはひたすら減り続け、さらには酒離れも追い打ちをかけています。
わたしの経験からどのようにお客さんが減ってきて、今後はどのような未来が予想されるのかを考察していきたいと思います!
30年前から現在までの傾向
私は1990年代にタクシーの仕事に就きました。
それから約30年経ちますが、夜の街の人通りはひたすら右肩下がりです。
昔は会社の飲み会で渡されたであろうタクシーチケットを20代くらいの若い人でも帰宅の際に使っておられましたが、今は明らかに中年の管理職でタクシーチケットを管理する権限のありそうな人しか使いません。
今では週末なのにタクシーチケットが1枚も出ない日なんてザラにあります。
週末の一日の売り上げは夜の忙しい時間に頑張ってやっと30年前の平日の売り上げくらいでしょうか。
忘年会シーズンの人手も年々少なくなっています。
10年くらい前までですと、11月の初旬になるとまずはサービス業の忘年会が始まっていました。
ずいぶん早いと思われるかもしれませんが、12月になるとみんなでまとまって休むことが難しくなるのでサービス業はこの時期ぐらいから忘年会を始めます。
そして一般の会社が11月下旬から忘年会をやり始め、12月の終わりまで連日夜の街は大賑わいという時代でした。
年が明けても仕事始めから新年会が始まり、1月も結構儲かったものです。
ところが今では新年会という言葉すらあまり聞かなくなり、12月に入って忘年会で賑わうのも週末だけです。
その忘年会から遠方まで帰るお客さん(メーター料金1万円)が言っていました。
昔は毎月のように飲みに出ていたけど、今は年に一回忘年会の時だけ!
長距離のお客さんもいなくなるはずです。
人が集まらないから忘年会を会社としてはやらないという話もよく聞きます。
昔は忘年会が会社の行事という側面もあり、仕方なく参加していた人も多かったのでしょう。
それに先輩から誘われたら断れないという風潮でした。
しかし今の若い人たちはスマホをいじりながら目も合わさず平気で断るそうです(笑)。
地方都市の過疎化
都会と地方の二極化はとどまるところを知りません。
先日も地元の誇りだった超有名大企業が関東にいってしまいました。
何百人もいたであろう社員や関係企業も含めて地元に落としていた大金は消えました。
私もタクシードライバー(運転手)としてその会社に何度も出入りしていたので、この界隈のタクシー会社の売り上げにもかなり響いていることが分かります。
大小含めた企業も減る一方なので、かつては何軒もあった接待用の高級クラブも一軒また一軒と減っていき、つい最近ですがとうとう最後の一軒が閉店しました。
今後のタクシー業界予想
前述のようにお客さんの絶対数は減る一方で、これからも変わることはなく減り続けるのではないでしょうか(泣)。
こう聞くと未来に夢も希望もないように思われるかも知れませんが、ほとんどの職業が人口減少によってマイナスの影響を受けるでしょうからタクシーだけが悪くなるわけではありません。
自動運転タクシーやライドシェアが入ってきても接客のできるタクシードライバー(運転手)は生き残ると思われますので、現役の方は今のうちから誰にも負けない接客スキルを身に付けておくことをお勧めします!
これだけ物凄い勢いでお客さんが減っているのに、なぜタクシードライバー(運転手)はまだ稼げていると思いますか?
それは物凄い勢いでタクシードライバー(運転手)が減っているからです。
わたしの会社では社員数が30年前の7分の1にまで減りました。
お客さんの数がどれだけ減ろうともタクシードライバー(運転手)の数がそれ以上に減れば、むしろ1人当たりの収入は増えるということです。
需要と供給のバランスが一番大事なのです!
実際に我が社で一番稼いでいるドライバー(運転手)は山ばかりのド田舎の営業所で働いています(笑)。
お客さんも少ないですがタクシーの台数が少ないので仕事がひっきりなしに回ってきますし、街まで向かうとなると長距離になるので都会で働くよりよほど儲かるそうです。
ただしド田舎なので個人宅ばかりで目標になる店や信号も少ないので大変らしいです。
いろいろ書いてきましたが結局のところ需要と供給のバランスを自分でどうこうすることはできません。
できる事はやはり自分自身を研鑽する事だけです!
まとめ
景気の低迷や会社の接待費が出なくなり夜の街はさみしくなるばかりだったところに加えて、近頃は酒さえも飲まなくなってきました。
実を言うと我が社でも人が集まらないという理由から10年前に花見がなくなり、5年前には忘年会もなくなりました。
さらには人口減少・自動運転タクシー・ライドシェアと未来はかなり厳しいと予想されるというのが正直なところです。
しかし、酔客の扱いやお年寄りの荷物運びなど人間が必ず必要になるタクシーの仕事がありますので、どれだけの数になるかは分かりませんが淘汰が始まっても質の高いタクシードライバー(運転手)は生き残ると思われます。
実際に最近は運転免許証を返納してその特典である料金の一割引きを使って乗車される高齢のお客さんが増えていますが、やはり親切に笑顔で荷物を持ってくれる人を指名したがります。
そんな親切な人を見習い、質の高いタクシードライバー(運転手)ばかりになると利用者も増えていくことでしょう。