世間一般には底辺だと言われている仕事があり、タクシー運転手（ドライバー）もその一つです。
管理人も現役のタクシー運転手なので、「底辺だ」とかそれに近い言葉は何度も言われてきました。
当然腹が立つので若い頃は言い返したりしたこともあります。
しかし長い経験の中で、少しの間の辛抱と思って我慢することが最善の策だと気付きました。
なぜなら、人に向かって
お前の仕事は底辺の仕事だ！！
こんなことを言える人とは話すだけ時間の無駄。
正論でねじ伏せたところで
言い返された
お客さん
さっき乗ったタクシー臭かったぞ！
と、会社に全く関係ないクレームを入れられるのがオチです・・・（実話）
ここまで「タクシー運転手が底辺だ」ということを前提で話してきましたが、実際はどうなのでしょうか？
「世間一般の考え」と「現役タクシー運転手である管理人の考え」に分けて考察していきます！
世間一般にタクシー運転手が底辺だと言われる理由
まず、社会的にタクシー運転手が底辺と見なされる理由は、働く環境が厳しいからでしょう。
長時間の運転による身体的負担や、お客さんとのトラブルやクレームによる精神的なストレスなど、タクシー運転手にとっての労働環境はきわめて厳しいものです。
また、運転手の収入は低く、不確定性も非常に高いといえます。
勤務時間が長い
タクシー運転手は早朝から明け方まで働いているイメージを持っている人も多いと思います。
長時間の勤務に加え、道路渋滞や長距離運転などによって疲れが溜まり、身体的健康状態に影響を受けがちです。
長時間座りっぱなしのまま同じ姿勢でいるのもきついです。
お客さんとのトラブルやクレーム対応
タクシー運転手にはお客さんとのトラブルやクレーム対応がつきものです。
道を間違えたり、料金に関するクレーム対応など、タクシー運転手にとって精神的にもストレスが大きい仕事です。
それらのストレスが健康に影響をおよぼす危険性もあります。
低収入
タクシー運転手の収入は、労働時間に対して比較的低めです。
また、不確定性が高い仕事でもあり、景気やパンデミックなどの影響をもろに受けます。
現役タクシー運転手が思う底辺な理由
この章では現役タクシー運転手である管理人が思う、タクシー運転手が底辺だと言われても仕方ないと思う理由を挙げていきます。
誰でもなれる
タクシー運転手になるには二種免許が必要です。
また地域によっては地理試験にも合格しなければなりません。
しかしこれらの試験に合格するのは簡単とまでは言いませんが、普通に頑張っていれば1ヶ月。遅くても3ヶ月くらいの期間があれば取れると思います。
普通自動車第一種免許と同様に、やる気さえあればほぼ確実に取れる資格です。
なので世間一般には二種免許を持っているとはいえ、タクシー運転手の価値があまり高く評価されていないのでしょう。
誰でもできる
普通自動車にお客さんを乗せて目的地まで送り料金をもらう
というのが、ざっくりと言い過ぎですがタクシー運転手の仕事です。
日頃から車を運転する人なら「僕にもできる！」「私にもできる！」と思われても仕方ありません。
しかし、主要駅や病院などを記憶しておくのは勿論ですが、そこまで最適な経路で行くというのは経験が必要なのでそう簡単ではありません。
カーナビは頼りにはなりますが、目的地までの最短距離を小さい路地まで含めて完璧に案内してくれることは少ないです。
カーナビの案内通りに進んだ結果が遠回りになったのだから仕方ない。
とは当然ならず、お客さんからは
この運転手わざと遠回りしやがった！
と思われる事の方が多いです。
さらには曜日や時間帯による混雑状況まで加味して最安値で目的地に到着するには経験が必要です。
そして何より大変なのが接客です。
特に酔っ払いや、サービス業を下に見て言い返せないのをいい事に横柄な態度を取ってくる人の対応は神経を使います。
お客さんに目的地まで気持ちよく乗ってもらえるように気を使える人でないと、タクシー運転手の仕事は難しいです。
給料が安い
世間一般にタクシー運転手の仕事は低収入だと思われています。
実際にタクシー運転手の平均年収は一般の仕事の平均年収よりは低いです。
しかしタクシー運転手の仕事は歩合制なので稼ぐ人とそうでない人ではかなりの開きがあります。
具体的には年金収入があるので月数万円しか稼がなくていいという人から、家族を養うためにタクシーの平均収入の倍以上稼ぐ人までいます。
なのでタクシー運転手の平均年収が低いから稼げない仕事という訳ではなく、やる気と実力次第では年収一千万円位までは可能な仕事ではあります。
※日本でトップクラスに稼ぐ人ですが・・・
世間一般にタクシー運転手が底辺ではないと言われる理由
当然ですが、タクシー運転手の仕事が「誰もが認める底辺な仕事」な訳ではありません(笑)。
- 運転が上手い
- 接客が上手
- 生活に必要
などの理由で逆にリスペクトしてくれる人もいます。
リスク回避能力が求められる運転技術
タクシー運転手は交通事故のリスクが非常に高い職業です。
特に市街地での運転が多いので、道路が混雑している上に夜間・雨・お客さんの対応に気を取られるなどの点に注意して運転しなければなりません。
さらにはお客さんに快適に乗ってもらう為には、急発進・急ブレーキ・急ハンドルにも気を付けます。
見ず知らずのお客さんに対応しながらの安全で快適な運転はそう簡単なものではなく、職業運転手としての長い経験が必要になります。
接客スキル
老若男女問わず利用客は様々な目的でタクシーを利用します。
- 観光
- ビジネスでの出張
- 通勤
- 通院
- 買い物
安全で快適に最適なコースで目的地まで送ることは最低限の仕事として、気の利いた会話で気分よく利用してもらいたいと皆思っています。
特に優良運転手はコミュニケーション能力が高く、観光情報も豊富で指名客が多いです。
タクシーを必要としている人がいる
特に電車やバスなどの公共交通機関が終わった深夜早朝の時間帯でタクシーが必要とされます。
女性や飲み屋帰りの人にとって、家の前まで送ってくれるタクシーは重宝するでしょう。
深夜早朝でなくても、免許を返納した人や足が悪くて電車やバスに乗れない人もいます。
そんなお客さん達にとってもタクシーはなくてはならない存在です。
現役タクシー運転手が思う底辺ではない理由
私は「世間一般からタクシー運転手は底辺だ」 という声があることを承知でタクシー運転手になりました。
実際に底辺の仕事だろうと、お金を稼いで生活するためには仕方がないと思って働いていました。
しかし働いているうちに
タクシー運転手の仕事は底辺ではない！！
と確信しました。
その理由は実際にお客さんからかけてもらえる感謝の言葉です。
お年寄りの方々の荷物を運ぶのを手伝えば
おかげで助かりました。ありがとうございました。
足が悪いお客さんからは
わたしはタクシーが無いと何もできません。ありがとうございました。
酔っ払いのお客さんからも
こんな時間でも家まで帰れるのはタクシーがあるからだな！
こんなに色々な人から感謝をしてもらえる仕事が、とても底辺の仕事とは思えません。
少なくともこれらのお客さん達は思っていないはずです。
タクシーは実際に国に公共交通機関として認められ、多くの人に必要とされ利用されているのですから底辺の仕事ではありません。
そもそも医者や弁護士などの社会的地位が高い仕事が底辺だと言われることはないでしょうが、昔は公務員でも底辺だと言われる時代がありました。
どんな仕事でも底辺だと言われる可能性があるということです。
建設関係やゴミ収集の仕事も底辺だと言われることがありますが、当然世の中では絶対に必要な仕事ですので底辺のはずがありません。
まとめ：結局タクシー運転手は底辺なのか？
世の中にはいろいろな人がいて、国家資格が必要な世間一般に自慢できるような仕事以外では、どの仕事でも底辺と言われる可能性はあります。
人の仕事を「底辺だ」と言うことは、他の仕事を貶めることで自分を大きく見せようという浅はかな考えです。
タクシーのお客さんでスナックやキャバクラに向かいながら
飲み屋の女の子は底辺で馬鹿だからな。
という会話をよく耳にしますが
「定価の何倍もの値段でお酒を出され、散財しているあなたたちが口にする言葉？手のひらで転がされているのはあなたたちの方ですよ」
と思ってしまいます。
人の仕事を底辺呼ばわりするような人はその程度の人間なので、相手にしないようにするのが一番です。
どんなに小さな仕事でも必要とする人がいる限り価値があります。
色々な職業があるから世の中は回っているわけで、そこに優劣をつけることはできません。
タクシー運転手の仕事も底辺ではありません！
どんな仕事でも自信とプライドを持って仕事しましょう！！
