タクシーを止めようと思って
手をあげた途端に回送にしやがった!乗車拒否だ!許さない!
有名人のこんな発言が話題になるなど、乗車拒否に関するお怒りの意見はお客さんからもよく耳にします。
しかし私の知る限り9割以上はお客さんの勘違いで、乗せたくても乗せられない状況で乗車拒否と思われてしまうものです。
実際に同じ会社のタクシーが2台並んで走っていて(私のタクシーが後方)お客さんが手を上げたのに、前の車がスルーして私の車に乗ってきたとき
前のタクシーに乗車拒否されたぞ!
と怒りながら乗ってきました。
実はお客さんが手を上げる直前に前のタクシーには無線配車が入っていたのを私は知っていたので実際には乗車拒否ではないのですが、 そんな事情を知る由もないお客さんからすれば乗車拒否をされたということになるのでしょう。
この記事ではこのように乗車拒否について納得がいかない方に向けて、タクシーの裏事情を解説していきたいと思います!
この記事を最後まで読んでいただければ、悪気があって乗車拒否をしているのではないということが分かると思います(実際は乗車拒否していない)。
「乗車拒否された」はお客さんの勘違い
私たちタクシードライバー(運転手)はお金を稼ぐために仕事をしています。
お金を稼ぐということはお客さんを乗せるということであり、歩合制である以上一人でも多くのお客さんを乗せたいと考えています。
「手を上げている人を見たら金と思え」ではありませんが、目の前に手を上げている人(金)がいるのに乗車拒否をする理由がありません。
俺の格好を見てワンメーターと思って乗車拒否したんだ!
という卑屈な発言をよく聞きます(笑)。
タクシー側の事情を知らないからこそ出る完全な被害妄想です。
確かに景気がいい頃はラフな格好の人よりスーツを着た人の方がいいと言う話はありました。
しかし今の時代はタクシー代が経費で出るということは少ないので、スーツを着ていても自腹で帰る人が多いです → → → 長距離の可能性は少ない。
それどころかお金持ちなので繁華街近くに住んでいてワンメーターということも多いです。
逆にラフな格好のど田舎の金持ちおじいちゃんが街に遊びに来ていて、スーパーロングということもあるので今の時代は服装で見分けることはかなり困難です。
そもそもお客さんの数は減る一方なのでワンメーターと決まっているならともかく、ワンメーターかもしれないからといった理由で乗車拒否するほどの余裕なんかありません!
通り過ぎれば全て乗車拒否になる
私自身、乗車拒否ではないのに乗車拒否だと言われた経験が何度もあります。
普通にお客さんを乗せて「賃走」を表示して走っているのに
手を上げているのに止まらなかったぞ!
と会社にクレームの電話をかけてくる人がいるのです。
走行のデータは会社に保存されているので事実無根だということはすぐに分かるのですが、会社に電話をかけなかった人にとっては私が乗車拒否をしたという冤罪が確定しているのでしょう(笑)。
他にも「予約」の表示を出して走っている時に、お客さんが手を上げたので横をゆっくり通り「予約」の字を何度も指差し走り去ると、後ろから大きな声で
乗車拒否じゃないか!
という声が聞こえました。
タクシーはお客さんが乗っていない、且つ「空車」の表示でなければ止まれません!
なぜ乗車拒否と勘違いされるのか
お客さんが乗っていないのに手を上げてもタクシーが止まらないからといって乗車拒否ではありません。
タクシーの助手席辺りを見て「迎車」「予約」などの空車以外の表示が出ていると、お客さんを迎えに行く途中なのでタクシーは止まれません。
無線配車されている
乗車拒否と勘違いされる例で一番多いのが、既に無線配車されているので乗せることができないときになります。
私の会社に限ったことではないと思いますが、基本的に無線配車を一旦引き受けたからには必ずそのお客さんを乗せなければなりません。
例えばワンメーターと分かっているお客さんを迎えに行く途中で他のお客さんから手が上がった場合、そのお客さんを乗せたいと思うのが心情です。
だからといってそこでそのお客さんを乗せてしまうと、先に電話をかけているワンメーターのお客さんを待たせることになり、その結果2度と呼んでくれなくなるかもしれません。
ワンメーターのお客さんだけでも一か月間の累計にすれば数万円の売上になりますので、会社全体でしかも年間トータルではかなりの金額になっているでしょう。
ワンメーターのお客さんなしにはタクシー会社の存続はありません。
話はそれましたが、以上のような理由から一旦無線配車された仕事を断ることはできません。
なので「迎車」や「予約」などの表示を出して走っているタクシーは、お客さんが乗っていなくても止まることができません。
自分の客の予約が入っている
タクシー会社からの仕事ではなくて、携帯電話などで個人的に受けている指名客の予約が入っている場合も、手を上げても基本的にタクシーは止まりません。
しかしタクシー会社からの無線配車と違って顔なじみの常連客であることが多いので、時間に余裕があれば「後回しでもいいよ」と融通を利かせてくれて、手を上げたお客さんを先に乗せることができる時もあります 。
稼ぐタクシードライバーは自分の客を持っています▼▼▼
会社からの無線配車にせよ個人で受けている常連客にせよ、お客さんを迎えに行っているわけですから「迎車」や「予約」などの空車以外の表示を出しておかなければ乗車拒否と言われても仕方ありません。
ドライバーが気付かない
特に暗くなってから上下黒などの暗い色の服を着ていると、手を上げても気づきにくいです。
繁華街ならドライバー(運転手)側も「お客さんがいるかも」というのを頭の片隅に入れながら運転しているので気づきやすいですが、幹線道路などではタクシーも急いで繁華街に戻ろうとしているので余計に気づきにくいです。
以前、私が深夜に幹線道路で乗せたお客さんの例です。
私が時速約60kmで走っていると、ほぼ真横の位置でお客さんが手を上げているのに気付きました。
私は慌ててブレーキを踏み20〜30メートル過ぎたところで停車しました。
やっと止まってくれた!
ほっとした様子でそのお客さんは乗って来られました。
運転手さんが止まってくれるまで10台は乗車拒否されたよ!
ずいぶん待ったのでしょう。大変お疲れの様子でした。
私もギリギリで気づいたので、後続車があれば急ブレーキになって危ないので止まれなかったかもしれませんし、集中力が足りなかったらそのお客さんを見逃していたことでしょう。
そうなると私が11台目の乗車拒否したタクシー運転手になるところでした。
まとめ
タクシーに手を上げたのに止まらなければ
乗車拒否だ!
とクレームを入れたくなると思いますが、ドライバー(運転手)は乗せたくても乗せられない事情があることが分かっていただけたかと思います。
以上のように99%のドライバー(運転手)は
せっかくお客さんが手を上げているのに勿体ない・・・
と悔しい思いで通り過ぎています。
今は殆どいないと思いますが
近いから歩いて行った方がいいですよ!
こんなことを言う悪い運転手がいたという話を聞いたことがあります。
もしそんな運転手がいたらタクシー会社と車のナンバーを控えて通報してやりましょう!